ためらわず

4月 4th, 2012

いつもながら出遅れておりますが今年もどうぞよろしくお願いいたします。

皆さんの支えの中で軽やかに遊んでまいります。

それにしても年が明け、ぐうたらしていると瞬く間に春になってしまいます。
地下室にこもったり函館に行ったりしているうちに4月です。ご存知のとおり4月ですね。
とはいえ札幌はまだまだ冬景色。ストーブもモコモコ靴下も必要です。


そんなわけで今、横浜におります。
滞在も1週間を過ぎ、大雑把ですが土地勘を得ることができています。
ひとつ大きなお話をいただいていて、「いわゆる」な横浜しか知らない私はもっと地域的な生活感漂う横浜を知るためにやってきました。
今年はおそらくかかりっきりで行き来が多くなるような気がします。


日々いろいろな方とお会いしてお話伺う機会を作っていただき神経が緊張しっぱなしです。
夜は泥のように眠りしっかり朝食を摂って、久しぶりに規則正しい生活を送っています。

しかしこちらは暖かいですね、いや、うそ、寒い! 風が冷たく、張り切って薄着しか持ってこなかったので失敗しています。
こっそりカイロを忍ばせて春を感じてるフリをしています。
桜が咲くの咲かないの、とテレビで言っています。今年はこちらと北海道、時間差で二度見ることができるので嬉しいです。


合間を縫って個展などにも足を運んでいます。

お話した、日本画家の阿部清子さんの作品がアートフェア東京に出展されていたので最終日に駆けつけました。
やはり生で観るとそのはかなさは見事です。
会場には清子さんもいらしてご挨拶させていただきました。相変わらず綺麗なひと。作品同様見惚れます。

同じく汐留にあるパークホテル東京でも作品を展示されているとのことで後日伺う旨をお話したらご一緒していただけるとのこと。
作家とともに作品を訪れることができるとはなんて贅沢な!
清子さんのお言葉お借りして 「ぜひ デートでどうぞ」


「春色の墨」展
期間:3月26日(月)~5月27日(日) 11:30~22:00
パークホテル東京 25F アトリウム【入場無料】

【出品作家】:阿部清子、亀井三千代、
 木村浩之、生井巌、日置路花、平澤重信
http://www.parkhoteltokyo.com/artcolours/


もうひとつは山田勇男監督の人魚幻想画展「人魚の夜と夜」を観てきました。

こちらも最終日に何とか間に合って伺ったのですが、タイトルどおり夢のような人魚の画が所狭しと飾られており、そのゆれる姿に心を奪われました。

監督は私が10代の頃はじめて入った『月球儀少年』という作品の現場で勉強させていただいた方です。
右も左もわからぬ私に言葉少なくもあらゆることを教えていただき、勝手に師と仰いでいます。
作品はもちろん監督としての在り方も学んでいるし、影響を受けているし、褒めてもらいたくて追いかけています。
いつも悩んでばかりでつらつらと書いてしまう私の手紙にも「あなたはお利口さんだから信じて進みなさい」とお返事を下さります。


跳ねたあと、向かいのお蕎麦屋さんで色々とお話させていただきました。
監督はムードがあって照れ屋で、すぐ煙に巻いちゃうところはいつもどおりでそんなところがとても好きです。
ひと言ひと言を聞き逃したくありませんでした。
常に表現とは何かと問い続け、はかなく曖昧であることの美しさ、浮かんでくるディテールを丁寧に描くことを学びました。

その夜、監督から 表現とはまず否定するところからはじまる と教えていただきました。


私は次に何を否定したらいいか、思い巡らす中で、それでもためらわず選んでいきたいと思います。

水青餡

12月 14th, 2011


『水青餡』(すいしょうあん)とは日本画家の阿部清子さんの公式サイトの名称です。
おそらくご本人の造語なのですがなんて美しいことばを思いつくのだろう。


二月のおわり、フラれてぽっかり空いてしまった一日さてどうしましょうと展覧会情報を調べていたところある女性の肖像画が目に飛び込んできました。
「知恵熱」というタイトル。
黒い手袋で頬に手をあててあちらを見ている、まなざしに心を奪われてしまいました。
阿部清子個展「優しい人非人」 
急いで仕度をし、御茶ノ水にあるギャラリー広岡美術へ向かいました。

その「知恵熱」が掲載されています。
http://www.gei-shin.co.jp/info/art2135.html


会場には10数点の作品だったと思います。
そのほとんどがさまざまな女性の表情を捉えているものでしたが
うすい墨に色をにじませたようなもので淡く描かれておりまるで泣き顔のようにみえました。
実物をみて、ふたたび心を奪われてしまいました。
作品はどれも湿度を帯びていて、絵画をみてこんな気持ちになったのは初めてでした。


最終日だったこともあり画家の阿部清子さんも会場にいらしていていつまでも動かずにいる私に声をかけてくださいました。
阿部さんはすらりとしてまるで物語に出てくる美しい鹿のような方でした。
そして深い青、水のような女性。  
画家である一方でかわいいお嬢さんのお母さまでもいらして
いろいろとお話を伺うといっそう魅力が増しファンになってしまいました。

さらに作品ごとにあるタイトルも実にしなやかであります。
ちなみに「人非人」とはひとでなしのことを言うそうです。
その日お話をしながら暗くなるまで絵を眺めていました。


札幌に帰ってからもお手紙を差し上げたり
メールなど仲良くさせていただいている中、私がふたたび東京に行くということで思い切ってお誘いしたところ先月再会できることになりました。
銀座で二時間ほどお茶を飲みながらいろいろなお話をしました。


心に響く作品とそうでないものを正直に振り分ける大切さや
制作中の美容室に行くタイミング、女性を描くということなど。
ある瞬間に記憶が無くなるほどのモチベーションで作品に入り込むというお話には共感しました。
お互いのキャスティング(描くモデルさん)について話したときは私の場合「声」も重要であるという話題などでは頷いていただいたり。


どさくさに紛れて「清子さん」なんて下の名前でお呼びしたりして、やったー!
女性を描かれているだけあって時折じっとこちらをみてくださるんです。


まるで頭の中で描かれているような気分。清子さんはそんな独特の空気を纏っています。

さりげなく私の手をほめてくだすったり
写真を撮っていただいたり、綺麗といわれるのは慣れておらず焦ります。
そして勿体無いお誘いまでいただきひどく汗をかきました。

私のことなんかよりも、清子さんはいつお会いしても聡明で美しい言葉の持ち主です。

会話、コミュニケーションにおける距離感のお話はとても共感できました。
己とキャンバス、己と人物(対象物)、と常にある一定の距離の世界で制作する画家ならではのお話は興味深いです。

いかなる場合でも想像力を持って相手と関わり合うことが大事だというお考えは私もそのとおりだと思っていて
生意気を言うと、その距離のとり方が清子さんと似ていると思うので気持ちのいい時間を過ごすことができました。
どの分野でもこのような女性が大好きで、そんなお姉さん方の後を追いかけています。

 

阿部清子さんが現在銀座のぎゃらりぃ秋華洞にて個展を開催されています。

 
 『阿部清子展 霊性道場』
 
■期間:平成23年12月9日(金)~17日(土)
■時間:営業時間(月~土 10:00~18:00 日・祝 11:00~18:00)
■会場:ぎゃらりぃ秋華洞 入場無料(東京都中央区銀座6-4-8 曽根ビル7F)
■TEL: 03-3569-3620  
■ぎゃらりぃ秋華洞: 
http://www.syukado.jp/jp/gallery/201112abe_kiyoko.html


今週いっぱいですが、実物をご覧いただきたいのでぜひ銀座までお出掛けください。
私は、もちろん観たい! のでエイッ、行っちゃう!
師走、、いいのだろうか・・・ この前札幌に戻ってきたばかりなのに?
それでも実物を観たい気持ちでいっぱいです。
追いかけて行きたいと思います。


 
阿部清子公式サイト 
『水青餡』 http://www.abekiyoko.com/


サイトのギャラリーにはさかのぼって多くの作品を観ることができます。
うつろな中に時折はっとするような意思を感じます。

観ているとなぜか 
くちのなかで飴玉をころがしている女のイメージが浮かんできます。
なぜか、そんなインスピレーションが沸きました。



 
 



手元に置く非日常 

10月 28th, 2011



少し前のことですが、通年で行われている「午前10時の映画祭」で『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を観ることができました。 

もちろん私も小さいころワクワクしながら金曜ロードショーで観ていた映画がまさかスクリーンで観れるなんてまたとないチャンスでした。
楽ちんな格好で映画館へ行きポップコーンとコーラを買い、ストーリーや台詞まで全部覚えているくせに展開に一喜一憂しました。
ありきたりな楽しみ方だけど、一人で来ているお客さんも意外と多く平日の午前中なのに座席はほとんど埋まっていました。嬉しいですよね。


振り返ると今年は劇場で映画を観ることが多く
(とはいえそれでも観ていないほうですが)
目的を持って観に行くときや、たとえば待ち合わせまで数時間空いたからパッと劇場へ行ったり、夕食後思い立って車でひょいとレイトショーを観に行ったりと流れている日々の生活の中に「映画を観に行くこと」というのが組み込まれています。

これっておそらく本来芸術を楽しむ姿ではないのかなと思いました。 

非日常を求めるために芸術に触れる場面もありますが手の届く場所にそれらを気軽に置いておくことも贅沢なものだと思います。
日常をみつめながら非日常を求める、そのバランスが心地いいです。

思えばヨーロッパに行ったときに特にフランスの人々はカフェに入るように映画を観に行っていました。
劇場やギャラリーなど遅い時間まで空いているのでレストランの帰りに個展に連れて行っていただいたりしました。
日本とはシステムなどの違いがあるので比べるものではないと思いますがいい時間の使い方だなと記憶しています。


私ももっと貪欲に外へ出ていろいろと観たり触れたりしなければ。 家にこもってシティハンターを読破してる場合じゃないです。



そんなわけで外に出てきました。
東京は嘘のように暖かくて北海道ではゆっくり楽しめない秋の気候の中過ごしています。

チェロの杏子ちゃんも同じ時期に東京滞在しているとのことで私も当初の予定より早めにこちらへ来て一緒にあちこち歩いています。

彼女のすごいところは当たり前のように札幌からチェロを持参し当たり前のように毎朝練習をしているということです。
もちろん演奏家さんは楽器は違えど常に手を動かしているものでしょうがこうして目の当たりにするとやっぱすごいな。

ホテルでは音が出せないから毎朝練習場所までチェロを抱えて数時間練習してからその日のお出かけをしているんです。
もう何年もそれが生活の一部に組み込まれているんですね。

舞台での彼女の弾く姿は生命力があるというよりは、隙のないガラス彫刻のような完璧さを感じます。

しかし重そうにチェロを抱えて「足が痛い・・・」などとつぶやきながら歩く姿や(それでもきちんとヒールを履いているところが女!)地下鉄の人が多い車内で何気なく楽器を守るような姿勢でいたり、酔っ払って手がふるえてお茶をこぼしたり…

そんな風に彼女の日常を見つめていると人間臭く、ステージでの非日常的な姿との対比の面白さをいつも感じています。

『変奏曲』ではそんなチェリストの二面性描きましたが、以降私たちは物足りずもう少し深く見つめた物語を作ろうと考えています。

札幌でも東京で会ってもいつもその話でもちきりです。
ジャンルも対象者も違うのでお互いうまく歩み寄ったり譲らなかったり面白いです。



さて、横浜ではちょうどトリエンナーレが開催されているので観に行ってこようと思います。


iPadに入れてきたろくでなしBLUESを読み始めてる場合じゃないです。

『変奏曲』をたどる 2

6月 25th, 2011








『変奏曲』をたどる 1

6月 22nd, 2011



































『変奏曲』を終えて

6月 21st, 2011






皆さま、この度は「あんず音楽堂×映蔵庫」による『変奏曲』へお越しいただきまことにありがとうございました。



長沼里奈、中島杏子共々すっかり燃え尽きております。

(しかしそんな杏子ちゃんはさっそく待ちわびていた演奏会を聴きに東京へ飛んでいきました。貪欲です。)





お知らせしていたとおり、チケットが早々に完売したにもかかわらずなおもお問い合わせをいただいて当日は狭い席でのご案内となってしまいました。

当日券のお客様も多数ご来場いただき、開演までお待ちいただくなど予想以上の展開でご迷惑をおかけしましたが皆様のご協力で無事に公演を終えることができました。ありがとうございました。





お客様からも大きな拍手を頂き、アンケートや直接言葉をかけていただいたりと喜んでいただけてとても嬉しいです。





何よりも杏子ちゃんの演奏がよかった。

当たり前ですがリハーサルと比べても格段に力がみなぎっていて傍らで観ている私にもその生々しさが伝わりました。違う生き物のように観えました。

これが私が嫉妬する生の持つ力なんだと改めて感じました。





スタッフのみんなも良く頑張ってくれました。相変わらず現場でいろいろなわがままや変更にも柔軟に対応してくれました。





岩井利政くん、

はじめは当日うっすらとお手伝いをお願いするはずだったのにあれよあれよとMCやら、気づけば劇中映像にまで出演して演技をさせられたりとすっかりメインキャストに。出会ってまだ一ヶ月しかたっていないのに巻き込んでいます。でも彼すごくいいです。



船戸大輔くん、

フライヤーには枯れかけた芍薬の写真を使っていますが意味深ですよね。変わらず丁寧な仕事とそのデザインは杏子ちゃんがすっかり気に入っていました。テクニカルな面でも狭い会場を逆手に取り、合わせ鏡を使っての映写には脱帽しました。



沢生恵さん、

素晴らしいドレスを作ってくれました。制作の現場から離れて数年とおっしゃっていましたが変わらぬプロの仕事を見せていただきました。私の希望を叶えてくれさらにさまざまなアイデアを頂き作業中は一緒に遊んでいるようでした。







リハーサルや、準備の写真など少しずつですが載せていこうと思います。動画も撮ったのでこちらもお見せしたいです。

ちょくちょく覗きに来て下さいね。





今回、ご予定合わずお越しいただけなかった方、ご案内が行き届かなかった方、満席のためごめんなさいしてしまった方、たくさんいらっしゃいます。 



ご好評につき、 つ、つ・・・追加公演とか? 調子に乗りすぎ? 

でも今回きりでお仕舞いにしてしまうのは勿体無いという声も多く、もう少しブラッシュアップしより多くの方に『変奏曲』をご覧いただきたい気持ちでいっぱいです。







『変奏曲』をつくる リハーサル

6月 18th, 2011

さーてと、おかげさまでチケットも完売したし、本番に備えてのんびりお風呂でも浸かろうかしら。



できません、なぜならばシップを貼り換えてもうひと作業しなければならないから。

どうしていつも穏やかな気持ちで本番を迎えることができないのだろう。





欲張りな私たちは最後の最後まで粘ります。

レンダリング中、効率よく仮眠を取れるよう蒸気でホットアイマスクが手放せません。



昨日最後のリハーサルをしてきました。





チェロを弾く杏子ちゃんの体とドレスに気持ちよく映像が映ります。



直前でさまざまな変更にも臨機応変に対応してくれる素晴らしいスタッフに助けられて本番を迎えられそうです。

『変奏曲』 チケット完売

6月 18th, 2011

おかげさまで18日(土)、19日(日)の前売り券が完売となりました。
ご予約いただいた皆様ありがとうございます!

当日券に関しましては補助席または立見席となってしまいますがご案内できますので直接会場までお問い合わせください。
円山夜想 011-623-0666



『変奏曲』をつくる 撮影

6月 16th, 2011


昔からのオフレコの読者の方はこの更新頻度の高さに驚いていますよね。
お話したいことがたくさんあるんです。


さて『変奏曲』、いよいよ大詰め。
昨日は会場である円山夜想(マルヤマノクターン)にてリハーサルを行いました。
実際にプロジェクターで映像を投影し杏子ちゃんがステージに上がっての動きを確認しました。

なかなかの異空間になります。

今回は複数台のプロジェクターを一気にステージに向けて投影するのでいろいろとテクニカルな工夫も必要です。
スタッフのみんなも少ない時間の中、頑張ってくれています。


そして本番で上映する「映画」の部分の撮影も同時に行いました。
実際に会場である円山夜想の控え室をお借りして「楽屋」のシーンの撮影。


本番ではステージで演奏した杏子ちゃんが客席を通り楽屋へ戻るお芝居もあるのですがその部分でこの映像を流します。
また外ロケでのシーンも上映し、「女チェリストの」日常をのぞいてみる演出となります。

栄養ドリンクの本数が増えています。

『変奏曲』をつくる 投影

6月 14th, 2011


映像素材を撮影し、衣装が上がり、譜面も送られて来ましての『変奏曲』。
さぁ、いざリハーサルです。

「雰囲気も大事よね」と稽古場として使わせていただいているのが札幌芸術の森の練習室です。
コンサートホールもあり新しく静かで、窓の外の新緑もまぶしいこちらの練習室は杏子ちゃんも気に入ったようです。

おにぎりやサンドイッチをつまみながらお菓子を並べてひとしきり食べた後はじめます。

待ちわびていた衣装を纏い、チェロを弾く姿に息をのみます。



打ち合わせを重ねて作っていただいたこのデザインは360度どこからご覧いただいても美しいです。
このデザインを生かした演出を考えています。

実はこのドレス、ある仕掛けが施されています。
当日ステージの上で行う杏子ちゃんのアクションによってこのドレスがある意味を持つことになります。
これは本番までのお楽しみ。

当の杏子ちゃんといえば「その」練習ばかり。 あの譜面を弾くことのほうがよっぽど大変だと思うのにネー。



さて、後半は映写のテスト。

プロジェクターを持ち込んで実際に杏子ちゃんの体とドレスに映像を投影していきます。

先日、東京にて踊り手さんのシルエットを撮影してきたお話はしましたが、
その時の素材も当てました。
白いドレスの杏子ちゃんに重なるように影の生き物が這うように動いている。
ゾクゾクしました。

写真では少し見づらいかもしれませんが、これも本番のお楽しみですね。


さらに今日は録音のため杏子ちゃんに9曲のヴァリエーションを一気に弾いてもらいました。
本人いわく「腕がもげそう」とのことでしたが、改めて曲の持つ力強さとチェロの生々しさに心を奪われました。


自分たちの進んでいる道に絶対の自信は持っているはずなのだけれど本番が近づくにつれ、いま作っているものに対して怖くなる瞬間が訪れます。
立ち止まっている暇なんてないのに問いかけながら、何とかその気持ちを追いやるのですがこうして目の前にしっかりと並べられると背中を押されまた走れます。